乳幼児の心停止の特徴は、成人の心停止( 心原性) とは異なり、乳幼児心停止の約9割以上とされるのが呼吸原性心停止と言われています。
成人と救命法と乳幼児のそれに違いがあるのは、心停止という言葉は同じでも、心停止の原因自体が異なるからです。
AED とは日本語で言うと自動体外式除細動器です。AED の適用あるなしについても、心室細動等の発生がなければ、いくら心肺停止状態でも適用されない(AED がショック必要なしと判断) ことが多い。
つまり、心室細動がほとんど確認されない乳幼児の呼吸原性心停止では、そのほとんどの場合、AEDは適応なしになることが多い。
先生が倒れている園児を発見した場合、倒れた原因は特定できないので、その園児の意識と完全な呼吸が確認できなければ、すべてAEDを使用することになっています。
- 保育所保育指針〈第五章の1 のウ〉の解説書にも
- 「保育士をはじめ全職員は、各種研修会等の機会を活用して、救急蘇生法や応急処置について熟知しておくようにする。」
と記載されています。
- なぜ乳幼児は呼吸原性心停止が9 割を占めているのか?
- 成人のように心不全や心筋梗塞が発症して、心肺停止になることはほとんどなく、身体が未発達なために被る不慮の事故による喉詰めや溺水などで、呼吸が妨げられ、呼吸困難になり、時間が経過と共に、呼吸が停止し、その結果、心停止に至るといった呼吸原性心停止が、かなりの割合で心肺停止の原因を占めると言われています。
- 乳幼児救急蘇生法( 救命手当) の注意点、成人の救命手当との違いは?
-
|
成人 |
乳幼児 |
気道確保 |
BLS 必要なし |
頭部を反らせすぎない。鼻の穴が上を向く程度。 |
人工呼吸 |
BLS 必要なし |
胸が上がればOK。吹き込み過ぎない。 |
胸骨圧迫 |
自身の体重を利用して、深く早くしっかり押す。 |
身体の大きさを考慮して圧迫、胸が1/3 沈む程度。 |
AED |
成人用パッド- 右胸と左脇腹。 |
小児用パッド胸中央と左右肩甲骨の間。 |
※BLS ベーシックライフサポート 一次救命処置( 非医療従事者向け救命処置)
- 気道確保・胸骨圧迫・人工呼吸・AED・エピペンを知っていますか?
-
- 気道確保
- 窒息を予防し呼吸管理を行うため、心肺蘇生においては、まず第一に行われる処置。
- 胸骨圧迫
- 心肺蘇生法の対処法で、心停止した人の胸の中央を両手(または片手)で圧迫して血液の循環を促すこと。 医師や救急隊員以外の一般市民が、救急車が来るまでの間に行う一次救命処置(Basic Life Support; BLS)として推奨されているのがこの胸骨圧迫である。
- 人工呼吸
- 自発呼吸が不十分な人に対し、人工的に呼吸を補助することをいう。
心肺蘇生法(しんぱいそせいほう、CardioPulmonary Resuscitation; CPR)は、呼吸が止まり、心臓も動いていないと見られる人の救命へのチャンスを維持するために行う循環の補助方法である。
CPR とは脳への酸素供給維持である。脳自体には酸素を蓄える能力がなく、呼吸が止まってから4~6 分で低酸素による不可逆的な状態に陥る。そのため一刻も早く脳に酸素を送る必要がある。
- AED
- 自動体外式除細動器(Automated External Defibrillator, AED)心室細動の際に機器が自動的に解析を行い、必要に応じて電気的なショック(除細動)を与え、心臓の働きを戻すことを試みる
医療機器。 除細動器の一つだが、動作が自動化されているので、施術者が一般市民でも使用できるよう設計されている。
- エピペン
- ハチ刺傷、食物アレルギーなどによるアナフィラキシーに対する緊急補助治療に使用される医薬品である。アナフィラキシーを起こす可能性の高い患者が医師によって処方される自己注射器のことで、発症の際に医療機関へ搬送されるまでの症状悪化防止に役立っている。