2010年1月17日山形:保育施設の元園長ら書類送検
保育施設の元園長ら書類送検=うつぶせに寝かせ乳児死亡-山形県警
2010年1月18日16時37分配信 時事通信
山形県天童市柏木町の認可外保育施設「みんなのベビーホーム」(閉園)で2007年11月、生後4カ月の女児がうつぶせに寝かされ死亡した事故で、県警捜査1課と天童署は18日、業務上過失致死の疑いで、元園長の女性(71)=同県中山町=と保育士2人を書類送検した。
3人の送検容疑は、07年11月2日午前9時半~午後1時15分ごろ、女児を軟らかい敷き布団にうつぶせに寝かせ、窒息死する危険性があったにもかかわらず注意義務を怠り、放置した疑い。
同課によると、厚労省は認可外保育施設指導監督基準で、0歳児3人に職員1人を配置することを定めているが、事故当時は、同じスペースに寝ている10人の0歳児を保育士2人だけでみていた。保育士は、泣いていた女児を寝かしつけるため、うつぶせに寝かせたという。
天童の乳児死亡:元園長ら3人書類送検 うつぶせ放置、救命怠る疑い /山形
2010年1月19日12時1分配信 毎日新聞
天童市の認可外保育施設「みんなのベビーホーム」(既に閉園)で、07年11月、生後4カ月の沼沢悠妃(ゆうひ)ちゃんが死亡した事故で、県警捜査1課と天童署は18日、女性元園長(71)と、50歳と39歳の女性元保育士の計3人を業務上過失致死容疑で山形地検に書類送検した。悠妃ちゃんの母(26)が昨年10月、県警に刑事告訴していた。
送検容疑は、元園長は、職員数を確保せず、職員に悠妃ちゃんを細かく観察させなかった上、悠妃ちゃんの異変に気付いた後も救命措置を怠った疑い。2人の元保育士は、窒息死の危険があるうつぶせ寝を悠妃ちゃんにさせたまま、乳児室を離れるなど漫然と保育をしていた疑い。
県警の鑑定で死因は「窒息死、乳幼児突然死症候群(SIDS)のどちらの可能性もある」との結果だった。しかし同課は死因の鑑定と別に、悠妃ちゃんが寝ていた布団の中の状況を再現し、二酸化炭素の蓄積濃度を鑑定。「酸素の欠乏が生じて窒息死したとしても矛盾はない」との結果を得て、窒息死の疑いが強いと判断した。
同課によると、事故当日、施設には乳児22人がおり、うち悠妃ちゃんが寝ていた部屋には10人がいたが、この部屋を担当する保育士は2人しかいなかった。また、元保育士が悠妃ちゃんの顔色や呼吸を細かく観察していれば死亡する恐れを予測できたと指摘した。元保育士は「泣きやまなかったため、うつぶせ寝にすれば泣きやむと思った」と供述しているという。【浅妻博之】
◇遺族、損害賠償請求へ
書類送検を受け、悠妃ちゃんの遺族は、元園長と元保育士を相手取り、今月中にも損害賠償請求を山形地裁に起こす方針だ。
悠妃ちゃんの祖父(59)は毎日新聞の取材に「真実を知る第一歩が踏み出せた。施設でどういう保育がなされ、なぜ発見が遅れたのか。私たちは真実を知りたい」と心境を語った。
祖父は元園長に対し「自分が今までやってきた保育のあり方を見直し、命の尊さをもう一度、考え直してもらいたい」と述べた。
元保育士には「うつぶせ寝は危険なのに当時の行動は軽率だったのではないか。孫が可哀そうすぎる」と話した。そして「起訴され、裁判の場で正直に本当のことを話してもらいたい」と話した。
女児の母親は県外におり「今日、書類送検になりました」とメールで報告したという。【鈴木健太】