2010年10月17日栃木:保育園死亡事故(提訴)
保育園、行政に賠償請求へ 08年、日光の乳児うつぶせ死事故で両親
(2010年10月17日 05:00) 下野新聞
日光市の私立保育園で2008年12月、昼寝をしていた生後9カ月の乳児がうつぶせで窒息死する事故があり、両親が「乳児の状態を適切に確認せず漫然と放置した」として、保育園側や県、日光市に対し、計約6800万円の損害賠償を求める訴えを宇都宮地裁に起こす準備を進めていることが16日、分かった。両親は来月上旬にも提訴する考えで「保育園は説明責任を果たして謝罪してほしい。行政の責任も明らかにし、同じような事故を二度と起こさないようにしてもらいたい」と話している。
提訴するのは日光市板橋、会社員丹羽佳岐さん(47)と知恵さん(41)夫妻。夫妻や代理人弁護士によると、息子の信嘉ちゃん(9カ月)は08年12月15日午後3時半ごろから、日光市の認可私立保育園で昼寝をしていたが、同4時ごろ、うつぶせで心肺停止状態で見つかり、間もなく亡くなった。
保育園側の説明では、女性保育士が信嘉ちゃんをあおむけで寝かせたが、どの時点でうつぶせになったかは不明で、生存確認はしていなかったという。死体検案書の死因は「うつぶせによる窒息死」だった。
発見直前は2人の女性保育士が信嘉ちゃんも含め4人の乳児を担当していた。夫妻は適切な保育を怠ったとして、保育園や2人の保育士、運営する社会福祉法人理事長に対して、信嘉ちゃんの逸失利益や慰謝料などを求める予定。保育園側は「放置はしていない」などとしているという。
夫妻は適切な監督を怠ったなどとして、県や日光市に対しても国家賠償を請求する考えだ。「栃木県は過去20年の保育施設の死亡事故件数がワースト4位の4人なのに、監査は機能しておらず適切な事故防止措置を講じていない」と指摘する。
夫妻は昨年10月、保育士2人を業務上過失致死容疑で今市署に告訴しており、書類送検を受けた宇都宮地検が捜査している。「待機児童の解消の前に再発防止策を徹底し、安心して子どもを預けられるようになってほしい」と求めている。